エコノミークラス症候群とは、狭い座席で長時間同じ姿勢をとることによって、ふくらはぎの痛みや呼吸困難など様々な症状が現れる病気です。

エコノミークラス症候群といわれていますが、ファーストクラスやビジネスクラスでも起こる可能性があります。

また、飛行機だけでなくバスや新幹線、乗用車でも起こりうる病気です。

飛行機やバスなどに長時間同じ姿勢で座っていると、血液の流れが悪くなり、血管内に血栓（血の固まり）ができやすくなります。

血栓が下肢の静脈にできた場合には、足に腫れや痛みが起こります。

下肢にできた血栓がはがれて血管内を移動し、それが肺動脈につまると、胸痛や呼吸困難などが現れます。

さらに重症になると、命が危険にさらされる恐れがあります。

エコノミークラス症候群は長時間移動した数日後に症状が現れることもあるため、数日～1週間は注意しておくとよいでしょう。

エコノミークラス症候群を予防するには、血液の流れをよくして血栓がつくられないようにすることが大切です。
長時間の移動をするときには、次の方法を試してみましょう。

・こまめに水分補給をする：水分が不足すると血液がドロドロになって流れが悪くなるため、十分な水分補給を心がけてください。

・身体を軽く動かす：できれば1～2時間に1回席を立ち、歩いたりストレッチをしたりしましょう。

・座ったまま足を動かす：席を立てない場合には、足だけでも動かしましょう。かかとを上げ下ろししたり、かかとをつけたままつま先を引き上げたりして、足の指先まで動かすようにしてください。

・ふくらはぎをマッサージする：ふくらはぎを手で軽くもむことで、血の巡りをよくすることができます。

・ゆったりとした衣類を着る：締め付けの強い衣類は血液の巡りを妨げてしまうため、ゆったりしたリラックスできるものを選びましょう。

・弾性ソックスを着用する：足のむくみを改善して血行を促す効果の期待できる、弾性ソックスを活用するのもおすすめです。

・足を上にあげる：足が下がっていると血液が下肢にたまって足がむくんでしまうため、足台や荷物などを利用して、足を少しでも高い位置に上げる時間をつくりましょう。

エコノミー症候群を防ぐには、日頃の生活習慣を見直すことも大切です。

筋肉には血液の流れを促す働きがあるため、運動や筋肉トレーニングなどを生活に取り入れて筋肉の増強に努めましょう。

食生活を整えて、血液をサラサラに保つのも効果的です。

旅行中、特に夜行バスなど自分の好きなタイミングでおトイレに行けない場合には、水分摂取を控えてしまうことが多いようです。

確かに排尿回数が増えると移動の妨げとなってしまいますが、健康な状態で旅行を楽しむには適切な水分補給が欠かせません。

移動中の水分補給には、利尿作用の低いお水がおすすめです。

アルコールは利尿作用が高いため、飲むのを控えるようにしてください。
コーヒーや緑茶などカフェインを多く含む飲み物、スイカジュースやトマトジュースなどカリウムを多く含む飲み物も、利尿作用があるため注意しましょう。

利尿作用の高い飲み物を飲むと、排尿回数が増えて体の水分が不足する恐れがあります。
お水は、こまめに少しずつ飲むことが大切です。

体が一回に吸収できるお水の量は限られており、200～250㎖を超えると吸収できずに排出されるといわれています。

旅行は楽しい反面、いつもと違う生活習慣や環境になるため疲労したり体調を崩したりしやすくなります。
だからこそ、お水は飲み慣れたものを持参するといいでしょう。

旅行中に調達する方法もありますが、飲みなれていないお水だと違和感を覚えてお水に手が伸びず、飲む量が減ってしまうことがあります。

荷物にはなりますが、いつも飲んでいるお水をマイボトルや水筒に入れて持参するのがおすすめです。

日頃から健康を意識したお水を飲んでいると、旅行中の健康管理にも役立ってくれます。
持参したお水は、3日以内に飲み切るとよいでしょう。

航空機内にお水を持ち込むときには注意が必要です。

国際線は、100㎖（g）以下の容器にお水を入れ、それを1ℓ以下のジッパー付き透明プラスチックバッグ（大きさの目安20ｃｍ×20ｃｍ）に入れないといけません。

容器の個数に制限はありませんが、透明プラスチックバッグに収まる分のみ可となっています。

国内線は、お水の量や容器の大きさなどの制限はなく、自由に持ち込むことができます。

航空機内に持ち込むのではなく、スーツケースなどに入れてチェックインカウンターで預ける場合には、国際線、国内線ともに制限はありません。

搭乗時に慌てないためにも、前もって調べて準備しておきましょう。

飛行機へのお水の持ち込みは変更される場合があるため、直前に空港のホームページなどで再確認することをおすすめします。