漢方では、私たちの体が「気血水」という3つの要素から構成されていると考えます。これらが不足したり巡りが滞ったりすることで体に不調が現れると考え、それぞれの体質(症状)にあった漢方薬を処方します。今回は、漢方の基本的な知識をみていきましょう。
漢方はどこの国のもの?
さまざまな生薬の組み合わせで、その人の体質をみながら症状に対応する「漢方(漢方医学)」。すでに実生活に取り入れている、あるいは取り入れたことのある方も多いでしょう。
漢方は中国から伝わったもの、というイメージがあるかもしれませんが、実際は、かつて中国から伝わった「中医学」が、日本の風土や気候に合わせて独自の発展を遂げたものです。従って漢方は「日本の伝統医学である」といえます。
そもそも「漢方」という言葉は、江戸時代に生まれたもの。江戸時代、日本に「オランダ医学」が入ってきた際、これを「蘭方」と呼びました。この「蘭方」と対置させるためにつくられた言葉が「漢方」なのです。
ちなみに「東洋医学」という言葉には、「中医学(中国)」、「漢方(日本)」、「韓医学(朝鮮半島)」など、東アジア発祥の伝統医学がすべて含まれます。
≪参考文献≫
漢方は中国から伝わったもの、というイメージがあるかもしれませんが、実際は、かつて中国から伝わった「中医学」が、日本の風土や気候に合わせて独自の発展を遂げたものです。従って漢方は「日本の伝統医学である」といえます。
そもそも「漢方」という言葉は、江戸時代に生まれたもの。江戸時代、日本に「オランダ医学」が入ってきた際、これを「蘭方」と呼びました。この「蘭方」と対置させるためにつくられた言葉が「漢方」なのです。
ちなみに「東洋医学」という言葉には、「中医学(中国)」、「漢方(日本)」、「韓医学(朝鮮半島)」など、東アジア発祥の伝統医学がすべて含まれます。
≪参考文献≫
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma1939/64/1/64_1_2/_pdf/-char/ja
私たちの体を構成する「気血水」
「人の体も自然の一部」ととらえる漢方では、症状が現れている部分だけではなく、体全体をみて総合的にバランスを見直します。また症状が現れる前から生活習慣を整えることで、未病(まだ病気にはなっていないが、そのままにしておくと病気になる可能性が高い状態のこと)にもアプローチできるのが大きな特徴です。
漢方では、私たちの体は「気血水」の3要素で構成されていると考えられています。
<私たちの体を構成する3要素>
気(き):生命エネルギーのこと。人の体を支えるすべての原動力となる。
血(けつ):血液のこと。全身の組織に栄養を与える。
水(すい):血液以外の水分のこと。体をうるおし、水分バランスを保つ。津液(しんえき)とも呼ばれる。
この3要素が満たされ、体内をスムーズにめぐっている状態が理想です。逆に、3要素が不足したり巡りが悪くなったりすると、体に不調が現れます。
漢方では、私たちの体は「気血水」の3要素で構成されていると考えられています。
<私たちの体を構成する3要素>
気(き):生命エネルギーのこと。人の体を支えるすべての原動力となる。
血(けつ):血液のこと。全身の組織に栄養を与える。
水(すい):血液以外の水分のこと。体をうるおし、水分バランスを保つ。津液(しんえき)とも呼ばれる。
この3要素が満たされ、体内をスムーズにめぐっている状態が理想です。逆に、3要素が不足したり巡りが悪くなったりすると、体に不調が現れます。
体質(症状)は6つのタイプに分けられる
漢方では、不足している状態を「虚(きょ)」といい、気血水が不足している状態を、それぞれ「気虚(ききょ)」「血虚(けっきょ)」「陰虚(いんきょ)」といいます。一方、巡りが悪くなる状態を「実(じつ)」といい、気血水の巡りが悪くなっている状態をそれぞれ「気滞(きたい)」「瘀血(おけつ)」「痰湿(たんしつ)」といいます。
どの要素が不足しやすいか、または巡りが悪くなりやすいかで、人の体質もこれらの6つに分類されます。
① 気虚(ききょ)
疲労感や倦怠感があり、気分が落ち込みやすい。また胃腸が弱い、体が冷えやすい、風邪をひきやすいなどの傾向がみられる。
② 血虚(けっきょ)
体の栄養が不足しているため、貧血やめまい、爪が割れる、髪が抜ける、顔色が悪い、などの症状が出やすい。
③ 陰虚(いんきょ)
津液不足(しんえきぶそく)ともいう。水が不足しているため、喉が乾く、皮膚が乾燥するといった、乾燥によるトラブルが起きやすい。
④ 気滞(きたい)
イライラ、憂鬱、気持ちの浮き沈みが激しい、といった精神不安定な状態になりやすい。また緊張、些細なことが気になるといった神経症の症状もみられる。
⑤ 瘀血(おけつ)
栄養が細胞に届きにくいため、手足の冷えや肩こり、頭痛などを引き起こしやすい。また正常なターンオーバーが妨げられ、肌荒れもしやすい。
⑥ 水滞(すいたい)
水湿(すいしつ)、痰湿(たんしつ)ともいう。余分な水が溜まりやすいため、体がダルい、頭痛やめまいがするといった症状が出やすい。
気血水はお互いに関連し合っているため、これらが複合的にみられることも多くあります。興味のある方は、ご自身の体質を調べてみましょう。
どの要素が不足しやすいか、または巡りが悪くなりやすいかで、人の体質もこれらの6つに分類されます。
① 気虚(ききょ)
疲労感や倦怠感があり、気分が落ち込みやすい。また胃腸が弱い、体が冷えやすい、風邪をひきやすいなどの傾向がみられる。
② 血虚(けっきょ)
体の栄養が不足しているため、貧血やめまい、爪が割れる、髪が抜ける、顔色が悪い、などの症状が出やすい。
③ 陰虚(いんきょ)
津液不足(しんえきぶそく)ともいう。水が不足しているため、喉が乾く、皮膚が乾燥するといった、乾燥によるトラブルが起きやすい。
④ 気滞(きたい)
イライラ、憂鬱、気持ちの浮き沈みが激しい、といった精神不安定な状態になりやすい。また緊張、些細なことが気になるといった神経症の症状もみられる。
⑤ 瘀血(おけつ)
栄養が細胞に届きにくいため、手足の冷えや肩こり、頭痛などを引き起こしやすい。また正常なターンオーバーが妨げられ、肌荒れもしやすい。
⑥ 水滞(すいたい)
水湿(すいしつ)、痰湿(たんしつ)ともいう。余分な水が溜まりやすいため、体がダルい、頭痛やめまいがするといった症状が出やすい。
気血水はお互いに関連し合っているため、これらが複合的にみられることも多くあります。興味のある方は、ご自身の体質を調べてみましょう。
水不足には夜の睡眠も大切!
6つのうち、3番目にあげた「陰虚」すなわち「水(津液)が不足した状態」というのはイメージしやすいと思います。
「水が不足しているなら、水をたくさん飲めばいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。体が外部から水分を摂取してその水分から津液を作るには、消化吸収をはじめとする一連のプロセスが必要であり、必ずしも体内に取り込んだ水分が全て津液になるわけではないからです。もちろん適度な水分補給は必要ですが、水分をとりすぎてしまうと津液生成の働きを弱めてしまうことさえあります。
また、血や津液は夜に作られるため、夜の時間帯にしっかり睡眠をとることもとても大切です。実際、隠虚タイプの人には、生活習慣が夜型というケースが多くみられます。そのほか、ストレスや疲労によって体内の気が滞ってしまうと、余分な熱がこもってしまい、これが津液生成を妨げる原因になることもあります。
このようにさまざまな要素が絡み合い、症状を引き起こすのです。
≪参考文献≫
「水が不足しているなら、水をたくさん飲めばいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。体が外部から水分を摂取してその水分から津液を作るには、消化吸収をはじめとする一連のプロセスが必要であり、必ずしも体内に取り込んだ水分が全て津液になるわけではないからです。もちろん適度な水分補給は必要ですが、水分をとりすぎてしまうと津液生成の働きを弱めてしまうことさえあります。
また、血や津液は夜に作られるため、夜の時間帯にしっかり睡眠をとることもとても大切です。実際、隠虚タイプの人には、生活習慣が夜型というケースが多くみられます。そのほか、ストレスや疲労によって体内の気が滞ってしまうと、余分な熱がこもってしまい、これが津液生成を妨げる原因になることもあります。
このようにさまざまな要素が絡み合い、症状を引き起こすのです。
≪参考文献≫
まとめ
漢方の「気血水」の考え方、および「気血水」に基づいて分類される6つの体質について学びました。自分はどの要素が不足しやすいのか、あるいは巡りが悪くなりやすいのかを把握しておくことは、日々の行動選択のヒントになります。生活習慣を見直しつつ、未病にもアプローチして、健康な心身を手に入れましょう!