「植物性ミルク（プラントベースミルク）」とは、「豆やナッツ、穀物などの植物性素材からつくられたミルク」のこと。ミルクといっても牛乳とはまったくの別物です。

日本で最もメジャーなのは豆乳ですが、最近はアーモンドミルクやオーツミルクなどをスーパーで目にする機会も多くなりました。また、ラテなどを注文する際、オプションでこれらのミルクを選択できるカフェも増えてきています。

例えばアーモンドミルクの場合、2021年のアーモンドミルク市場は148億円で、前年比から48%もアップしています（「アーモンドミルク研究会」調べ）。日本だけでなく、植物性ミルクの需要はこの数年で急速に高まっているのです。

植物性ミルクは、アレルギーのある人やヴィーガンの人でも安心して飲むことができます。

例えば、日本人には牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしてしまう「乳糖不耐症」の人が少なくありません。「牛乳を飲みたいけれど、飲むと調子がわるくなるような…」という人は、植物性ミルクを試してみるとよいでしょう。豆乳やナッツにアレルギーのある場合は、お米からできたライスミルクなどもあります。

また植物性ミルクは、ヴィーガン、すなわち動物性食品をとらないライフスタイルの人たちにとっても欠かせない存在です。特に欧米では、環境問題や動物愛護の観点から動物性食品の消費を抑える流れが強くなっており、その一環として植物性ミルクの市場も拡大しています。

このように植物性ミルクは、人、動物、地球環境すべてに優しい飲みものだといえるのです。

日本で最もポピュラーな植物性ミルク。水に浸した大豆をすりつぶした液体をこし取ってつくります。たんぱく質量は牛乳に匹敵するほど豊富ですが、牛乳よりも低脂質で低糖質。またイソフラボンも豊富なので、美肌効果なども期待できます。

ちなみに大豆は、豆腐や納豆など他の食材から口にする機会も多いため、どうしても過剰摂取になりがちです。どんな食材でも過剰摂取は逆効果になりかねないので、「大豆とりすぎかな…？」と思う場合は、ミルクを他のものに変えるなどして、バランスをとるとよいでしょう。

クセがなく料理にも使いやすいことから、近年急速に市場を拡大しているアーモンドミルク。アーモンドはビタミンEを多く含むため、抗酸化作用（アンチエイジング効果）や美肌効果などが期待でき、美容に関心の高い女性にも人気があります。食物繊維やオレイン酸、ミネラルなども豊富なうえ、糖質は牛乳の約10分の1なので、糖質制限中の人にもおすすめです。

オーツ麦とよばれる穀物からつくられる植物性ミルクで、豆乳やアーモンドミルクに次いで普及してきています。こちらもクセがなく、クリーミーながらもさっぱりと飲みやすいのが特徴。食物繊維、カルシウム、ビタミンB群が豊富です。糖質の吸収を抑える効果や、整腸作用などが期待できます。

アジア料理などでおなじみのココナッツミルクは、濃厚な口当たりが特徴です。カリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富で、脂肪燃焼効果など美容効果が高いことでも知られています。牛乳の代替品というよりは、料理やスイーツをつくる際に重宝する存在です。

お米特有のほのかな甘みがあり、クセがなくサラリとした喉ごしのライスミルクは、手軽にお米の栄養をチャージできるのがうれしいですね。白米からつくるものと玄米からつくるものがあり、それぞれ風味が異なります。玄米からつくるライスミルクは、特に食物繊維が豊富に含まれています。

日本古来のスーパーフードとして、近年再び注目を集めている麻の実（ヘンプシード）を原料にしたミルクです。日本では、自然食品店やオーガニックスーパーなどで販売されています。他の植物性ミルクに比べるとやや青臭さがありますが、必須アミノ酸（たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で生成できないもの）９種類をすべて含んでいるというのがうれしいポイント。食物繊維、鉄分、亜鉛なども豊富です。