甘酒の歴史は古く、甘酒の起源と思われるものが、奈良時代に完成した「日本書紀」に記されています。
甘酒は昔から人々に親しまれ、江戸時代にはポピュラーな飲み物となりました。
現在は冬の飲み物として人気の高い甘酒ですが、江戸時代初期には夏の飲み物として冷やした甘酒を飲んでいたようです。
その後、江戸時代中期には温かい甘酒を冬に飲むのが定番となり、江戸時代後期には季節に関係なく1年中甘酒を飲むようになりました。

初詣のときに、甘酒をいただいたという方もいらっしゃると思います。
参拝者に体を温めてもらうため、温かい甘酒を振る舞う社寺もあるようです。
甘酒を奉納する社寺や甘酒祭りを行う社寺などもあり、甘酒は日本の行事に欠かせないものとなっています。

ひな祭りも、甘酒を飲む行事の一つとして知られています。
もともとはひな祭りに白酒を楽しむのが風習でしたが、白酒にはアルコールが入っていて子どもが飲めないこと、家庭でつくるのが法律上禁止されていることなどから、手軽につくれて家族で楽しめる甘酒を飲むことが増えたようです。

甘酒には、米麹からつくられた甘酒と、酒粕からつくられた甘酒の2種類があります。
米麹からつくられた甘酒にはアルコールが入っていませんが、酒粕からつくられた甘酒にはアルコールが入っているため注意が必要です。

子どもにはアルコールの入っていない米麹からつくられた甘酒を選ぶとよいでしょう。
アルコールの量は商品によって異なりますが、市販の酒粕からつくられた甘酒には、1％未満のアルコールが入っているものが多いようです。

社寺のまわりや城下町にある茶屋やカフェ、酒屋さんなどで提供されていることがあります。
初詣や縁日の屋台で販売されることもあるため、興味のある方はチェックしてみてください。
甘酒を提供しているお店は全国にあるので、旅の楽しみの一つとして探してみるのもよいでしょう。
江戸時代初期に創業し、昔ながらの甘酒を楽しむことができる箱根の「甘酒茶屋」が人気を集めています。
東京の人形町にある「甘酒横丁」で、食べ歩きをしながら甘酒を飲むのもおすすめです。

酒粕からつくられた甘酒は、少ないとはいえアルコールが入っています。
酒粕からつくられた市販の甘酒を1杯飲んだ程度では、飲酒運転に該当しないといわれていますが、運転時に飲むのは控えましょう。
妊婦や子どもも酒粕からつくられた甘酒ではなく、アルコールの入っていない米麹からつくられた甘酒を選んでください。
米麹からつくられた甘酒の豊富な栄養が注目され、離乳食に活用されることも増えています。

甘酒はスーパーやコンビニ、自動販売機やインターネットなどで手軽に購入することができます。
調理が面倒、すぐに飲みたいという方には、そのまま飲めるストレートタイプがおすすめです。
お湯や水で薄める濃縮タイプ、お湯を注いでつくるフリーズドライもあるので、価格や飲みやすさなどを比較して選ぶといいでしょう。

もっと甘酒を楽しみたいという方には、手作りするのがおすすめです。

炊飯器で簡単につくる方法をご紹介します。
1. 材料を準備します。（ごはん200ｇ、米麹100ｇ、70℃前後のお湯300cc）
2. 保温の状態にした炊飯器にごはんとお湯を入れてかきまぜ、炊飯器のふたを閉めてしばらく温めます。
3. 炊飯器の中身が60℃くらいになったら、米麹を入れてかきまぜます。
4. 炊飯器を開けたままにして、ふたの代わりに布巾をかけます。
5. 炊飯器の中身が50～60℃になるように保ち、時々かきまぜます。
6. 5～10時間ほどすると完成です。

甘酒をつくるときには、温度を50～60℃に保つのが大切になります。
もっと簡単につくりたいといいう方には、自動的に適温をキープしてくれる甘酒メーカーがおすすめです。
炊飯器以外にも、ヨーグルトメーカーや保温ポット、鍋などでつくることができます。
つくった甘酒はそのまま飲むだけでなく、料理やお菓子作りに活用するのもおすすめです。