骨粗しょう症とは、骨量が低下して骨がもろくなる病気です。
私たちの身体は骨吸収（古くなった骨を破壊細胞が溶かす）と骨形成(新しい骨を骨芽細胞がつくる)を繰り返すことで、丈夫な骨を保っています。
そのため、骨吸収と骨形成のバランスが崩れて、骨吸収の働きが強くなることで骨密度が低下するといわれています。
骨密度が低下すると、転倒や尻もちをつくなど少しの衝撃で骨が折れやくなるため注意が必要です。
症状が現れにくいため気付かないまま進行してしまい、骨折してから骨粗しょう症になっていると気付くことも少なくありません。

主な原因となっているのが、加齢や女性ホルモンの減少、栄養不足などです。
加齢によって骨の組織が老化したり腸からのカルシウム吸収率が低下したりするため、年齢とともに骨量が低下してしまいます。
また、女性ホルモンには骨吸収（古くなった骨を破壊細胞が溶かす）を抑えて骨形成(新しい骨を骨芽細胞がつくる)を促す働きがあるため、女性ホルモンが急激に減少する閉経後の女性がかかりやすいといわれています。
骨の構成成分であるカルシウムの不足、体内のカルシウムのバランスを調節するビタミンDの不足、骨を支える筋肉となるタンパク質の不足などの栄養不足も、骨密度の低下を招くため注意しましょう。
その他、運動不足や喫煙なども原因となってしまいます。

骨吸収を抑制する薬、骨形成を促進する薬、カルシウム製剤などによる薬物療法を行います。
予防として、更年期以降の女性にホルモン補充療法を行う場合もあります。
食事療法や運動療法も、骨粗しょう症の治療に欠かせません。
丈夫な骨をつくるのに必要な、カルシウムやビタミンなどが不足しないよう食生活を整えることが大切です。
また、骨に適度な負荷をかけることで骨を丈夫にすることができるため、一人一人に合わせた運動を指導します。
適度な運動は、筋肉やバランス感覚を鍛えて転倒による骨折を防ぐのにも役立ちます。

慢性的にカルシウムが不足すると、それを補うために骨のカルシウムが溶け出して骨量が低下してしまうため、カルシウムの不足を防ぎましょう。
カルシウムが多く含まれている食品には、次のようなものがあります。
・魚介類：干しエビ、ししゃも、イワシ
・大豆食品：焼き豆腐、がんもどき、豆乳
・野菜類：小松菜、チンゲン菜、シソ
・乳製品：牛乳、チーズ、ヨーグルト

ビタミンDは腸のカルシウム吸収率を高めてくれるため、カルシウムと一緒にビタミンDも摂りましょう。
ビタミンDを多く含む食品には、次のようなものがあります。
・魚類：しらす干し、いくら、うなぎ、イワシ
・肉類：豚肉、レバー
・卵類：鶏卵
・きのこ類：きくらげ、しいたけ、まいたけ

骨を丈夫にするには、カルシウムだけでなくマグネシウムやタンパク質、ビタミンKやビタミンBなどいろいろな栄養素が必要です。
食生活を整えて、栄養素をバランスよく摂りましょう。
1日3食、一汁三菜を心がけるのがおすすめです。
いろいろな栄養素を食事から摂るのが理想ですが、難しい場合にはサプリメントや健康食品などを活用するのもよいでしょう。
また、アルコールやカフェインなど利尿作用のある成分を摂り過ぎると、排尿が促されてカルシウムが排出されてしまうため注意してください。

水泳よりもウォーキングやランニングなど重力のかかる運動の方が、骨を丈夫にするのに効果的だといわれています。
運動は継続することが大切なので、無理なく続けられる運動を習慣にして予防に役立てましょう。
筋肉トレーニングは、骨に刺激を与えて丈夫にするといわれています。
骨粗しょう症が進行している方は、運動をして骨に負荷をかけることで骨折してしまうおそれがあるため注意が必要です。
骨密度などの検査を受け、適切な運動方法や量を専門家に指導してもらうようにしてください。

タバコに含まれるニコチンには胃腸の働きを抑える働きがあるため、喫煙することでカルシウムの吸収率を低下させてしまいます。
また、女性ホルモンのバランスを乱れやすくし、骨量の低下を招いてしまうため注意が必要です。
タバコは骨粗しょう症はもちろん、がんや脳卒中などさまざまな病気を引き起こす要因となってしまうため禁煙することをおすすめします。

紫外線を浴びると体内でビタミンDがつくられるため、日光浴をすることで不足しがちなビタミンDを補うことができます。
紫外線の強さによって異なりますが、夏場であれば両手の甲に5～10分程紫外線を浴びることで、1日に必要なビタミンDを得ることができるといわれています。
紫外線の強さは季節や時間帯、地域によって大きく異なるため、様子をみながら日光浴を取り入れましょう。
紫外線は予防に有効ですが、浴びすぎると日焼けや光老化など体に悪影響を与えてしまうため注意してください。